知育玩具、色々出ており、どれもこれもよく考えられたものが多いですが。
ここでは、
私のやっている小中学生の学習支援活動【寺子屋】で、
子どもたちの食いつきがよかったもの、
子どもたちの能力を高める(勉強の成績アップが見込める)知育玩具にしぼってご紹介していきます。
Contents
知育玩具とは? 必要な理由は?
知育玩具とは、広い意味で言えば、
頭のよくなる(手助けをしてくれる)玩具、つまりオモチャのことですね。
ここで「手助けをしてくれる」という言葉を入れましたが、
知育玩具をやれば頭がよくなる、というわけではなく、
「使い方」次第でその子の能力が大きく伸びるか伸びないかが決まる、ということでもあります。
私はいろんな子どもの学習支援をしていますが、
ぶっちゃけ、子どもの元々の能力によって、勉強の結果はぜんぜん違います。
それは、生まれつき頭がいいとかではなく(多少はあります)、「習慣」の有無です。
たとえば、寺子屋では
『カタミノ』というブロック系知育パズルをやらせてみることが多いです。
すると、
「空間認識力」が高い子はそのパズルを比較的早く解けますが、
「空間認識力」が低い子は、そのパズルにかなり苦戦します。
この差は、
「空間認識力を育てる」経験、つまり「遊び」の有無とその習慣(=量)によって決まります。
実際、このパズルが得意な子は、小さい頃からレゴブロックや積み木で遊んだ経験が多い子です。
こういう子は、算数や数学の「図形」問題で苦戦することはほとんどありません。
(脳科学的に「図形が苦手」な傾向がある女の子であっても、です)
逆に、このパズルで苦戦した子はおしなべて、「図形」問題が悲惨です(汗)。
つまり、「遊び」がその後の人生に大きく影響することもあるのです。
苦手な能力を伸ばすのに「最適な道具」が知育玩具
逆に言えば、こういう知育玩具を活用することで、
そういった能力を「伸ばす」事ができるということでもあります。
特に、ご自身が「苦手だったなぁ~」と思うものは、
遺伝子を引き継いだお子さんに苦手が引き継がれることもよくあります。
それを歯がゆく感じて、「あれやりなさい」「こうしなさい」と、
それを「ムリヤリ」伸ばそうとすると、ケンカになったり大失敗します。
苦手なものこそ、「遊び」を通じて伸ばすことがベストですので、
そういう意味では、子どもが小さな内(できれば中学校に上がるまで)に、
さまざまなオモチャでいろんな「能力」を高めることをオススメします!!
なお、私は子どもがおりません。
ですので、私が常日頃見ている、小中学生だけに限定されてしまいますが、
寺子屋で子どもたちに人気があって、なおかつ学習効果が期待できる知育玩具・知育教材をピックアップしてご紹介します!
子どもたちがハマったオススメ知育玩具(パズル系)
圧倒的人気No.1「くもんの日本地図パズル」
寺子屋で圧倒的に人気のある知育玩具は、
「公文式」でおなじみの「くもん出版」の、「くもんの日本地図パズル」です。
昔からの定番中の定番と言われていますが、
日本地図の形はもちろん、都道府県の「名前」「場所」「形」を
最も効率的に日本地理をおぼえられます。
都道府県パーツも、はめる「型」もプラスチックで、カチャカチャうるさいし、ツルツルすべるのですが、
そんないかにもオモチャっぽい作りだからこそ、耐久性もあり、カチャカチャ音を鳴らしながら、立体的な日本地図の「型」に当てはめていくゲーム感が逆に楽しいようです。
特徴的なのは、年齢層が下の子でもやりやすいような工夫がされているところですね。
- パーツをはめる「型」に、都道府県ごとずれにくいように県境が少し盛り上がっている
- 「東北地方」「関東地方」など地方ごとに色分けされているパーツと、全部同じ色になっているパーツの2パターンある
- 上記のそれぞれに「ひらがな」シールが付属して、漢字が読めない子でも都道府県名がわかる(東京や大阪など小さすぎてシールを貼るのが難しいが一応添付されている)
- 逆にそれぞれの色で「目隠し」シールが付属して、どの都道府県かわからない状態で使う事もできる
- 折りたたんで収納でき、その中に付属の袋に入れた2種類のパーツをしまうことができる
- 日本地図もおまけでついてくる(最新は白地図や名産品、世界遺産などが書かれた5種類)
- とにかく頑丈で、乱暴に扱いがちな子でも壊せない
- 紙のように摩耗がないので、リサイクルショップで売っているのでも問題ない(ただし付属地図は少ない・もしくはない)
やはり気になるのは「都道府県名」をおぼえてくれるか?というところでしょうね。
実際、2020年度から教科書の内容が変わり、小4国語の時に都道府県名を「漢字で」書けるように習います。
その点でも、「ひらがな」シールで音から入り、「漢字」にバージョンアップできるこの「くもんの日本地図パズル」はとても合理的です。
飽きさせない「学びに繋がる遊ばせ方」
優れたパズルなので自由に遊ばせてもよいのですが、目標がないと飽きてしまうのが子どもです。
実際、このパズルを買ったけれどもすぐ飽きた、という声もあります。
当然、都道府県が頭に入っていません。
そんなことを防ぐため、寺子屋では、
何回もやらせる動機付けのために「タイムアタック」と称してストップウォッチで計測し、記録を取るようにしています。
タイムを計ることで緊迫感が生まれますし、より「ゲーム感」が出て、継続的にやるモチベーションが生まれます。
人と競争させるのも効果的です。
しかし、それだけが目的ではありません。
初めはタイムアタックのために、都道府県の名前など意にも介さずパーツだけおぼえようとするのですが、
いやが応にもパーツ名=都道府県名が目に入りますし、「宮城県は(東北地方の)緑だから…」とスピードアップのために名前も地方もおぼえてしまい、
結果的に都道府県含め地理が大好きになって、「都道府県ドリル」など何冊もやって、中学レベル以上の内容までわかる子もいます。
このパズルは、通常一人でやるパズルではありますが、2~4人くらいで、遊べる方法もあります。
寺子屋では、対応する都道府県のパーツを探し出し、実際に当てはめることができたらその人のポイント、という遊びをしますが、小学生には特に競ってやってくれてますね。
この方法は、「パーツの形を暗記」を防ぐ最も良い方法でもあります。
とくに、ネットや百均でも手に入る「都道府県かるた」や、付属の「特産品地図」「地形図」などをと組み合わせ、都道府県名をわからないまま都道府県のヒントを与えてパーツを選んでもらう方法だと、一気にゲーム性が高くなり、結果として都道府県名だけじゃなく「県庁所在地」「特産品」「地形」などを一緒におぼえてくれるので、特に高学年にはオススメです。きょうだいが多い家庭なんかにもオススメです。
かるたなどを使わずに、都道府県名をシールで隠して、都道府県を読み上げて探し出す、というやり方もできるでしょう。
このパズル、欠点は、「カチャカチャうるさい」「いかにもオモチャな色使い」「都道府県名以外わからない」というところですね。
反面、シンプルで「オモチャ」として遊べる分、反復して遊んでいる内に、都道府県の形や場所、名前をおぼえていきますので、
小学生~中学生まで楽しんでできる、シンプル・イズ・ベストな知育玩具の典型かなと思います。
なお、「世界地図」版もありますが、こちらはパーツの数が多く、国の大小の差がありすぎて、国がまとまっているパーツもあったり、パーツが小さくて国明がないものがあるなどと、日本地図パズルほどやりやすくはありませんが、日本地図パズルをマスターした子、小学校高学年~中学校には「世界地理」のための準備としてもオススメです。
折りたたんで収納でき、サイズも「日本地図パズル」と同じなので、セットで買って並べて保管することも可能です!(寺子屋ではそうしています)
分数の“概念”がわかる「はじめての分数パズル」
こちらも同じ「くもん」の知育玩具ですが、
算数・数学に出てくる「分数」をテーマにしたパズルです。
上記の「日本地図パズル」「世界地図パズル」のように、折りたたむと専用のケースになるという仕様でもなく、
ダンボール製の箱の中にバラバラに入っているだけなので、完成度は比べてみると低めです。
ただ、どうしても「分数」という概念は子どもが最もつまずきやすい単元なので、早めに「遊び」から取り入れていくのは大事なことです。
というのも、
「分数」とは「自然数(1,2,3…)」ではなく、人間が考え出したものですから、頭の中に「イメージ」ができないといけません。
しかし多くの子はそれができずに、分数に戸惑います。
分数のかけ算などで「分数の計算」はできても、分数とは何かということをわかっていないと、分数を使った応用問題や文章問題が解けません。
この、分数パズルは、「分数は“1”をその個数分で割ったもの」ということを見てわかるように教えてくれる知育玩具です。
なので、「1/4」や「1/7」の他に「1」というパーツも入っており、分数の基本的な概念がわかりやすくなっています。
また、「1」の中にどれだけ分数を入れられるかということを試せるので、違う分数でもピッタリはまればそれは「1」になるということがよくわかります(それをサイコロで選んで「どっちが早く1になるかゲーム」もできます)。
分数の概念は子どもには難解なので、大人が付き添って遊べる環境があれば、とても分数を教えやすくしてくれるツールでもあります。
欠点としては、
日本地図パズルのように、「こう入れないと全部はまらない」と決まっているわけではなく、いろんなパターンで入ってしまう(それこそ近似値1でも子どもには1に見えてしまう)ために、
ゲームとして「ゴール」を見出しづらいこと、続けてやるモチベーションは生まれにくいことです。
また、「1」と分数の概念を学ぶにはいいのですが、1を超える分数を説明するのに、たとえば1/3なら、ちょうど3つしかパーツがないというのは不便です。
とくに小4から本格的に始まる分数の計算では、「帯分数(1と2/3等)」や「仮分数(11/3)」を学ぶので、このツールではパーツが足りません・・・。
そういう意味で、小学校3年生くらいまでの子であればこれでもよいですが、それ以上になると、小5の子が考えたという、「分数ものさし」の方がよいでしょう。
分数の概念を「ものさし」に当てはめたもので、普通のものさしとしても使えるし、ドリル問題もあるので、これで分数の苦手を解消することもできます。
3歳からでもできる?「カタミノ」
「日本地図パズル」と人気を二分する知育パズルは、
冒頭でご紹介した『カタミノ』です。
寺子屋では、日本地図とは別の意味で人気のパズルで、子どもから大人まで楽しめるというふれこみで、対象年齢が「3歳~99歳」となっています。
ちょっと冗長じゃないかという感じもするのですが、実際、何歳でも楽しめる作りで、算数能力、とくに空間認識力・論理的思考力・集中力を身に付けられると世界中で使われているもので、テレビゲームの『テトリス』に似ています(というか、実はルーツは同じです)。
参考:http://www.cast-japan.com/gigamic-katamino/
プレイ方法は、決められたレベルのマス目を選び、エリアを決めてから、その中に「ピッタリ入る」組み合わせを考える、というものです。
そしてそれが「自由に選んだブロック」ではなく、専用の冊子があって、そこに指定された組み合わせのみでやらないといけないという所がミソ。
しかも、同じサイズのエリアでも組み合わせは何通りもあるので、同じレベルでいくつかのパターンをやることもできるし、同じパーツに1つずつブロックを追加しながらレベルを上げる、ということも出来ます(そして、レベルが上がれば、絶対に同じ形でははまらない、というのも奥が深いところです)。
そうすると、どんな能力が必要とされるかというと、ブロックを頭の中で回転させるイメージが浮かぶという能力です。
このブロックは、12種類の様々な形をした、5つの立方体が組み合わさった形をしています。
それを、どちらの面で使うのか? どういう向きで置くのか? そういったことを頭の中でイメージできるようにならないと、永遠とカチャカチャあーでもないこーでもないと同じことをくり返して終わります。
とくに、物体を頭の中で「回転」させるのは、脳の作業領域(ワーキングメモリー)を使う作業が必要で、発達障害や学習障害がある子の場合、このワーキングメモリーが少ない傾向にあるので、このパズルに限らず、算数の、回転を伴う図形でかなり苦戦します。
逆に言えば、このパズルを継続的に続けることで、
頭の中で図形を回転させることはもちろん、立方体の組み合わせなので、「面積」や「体積」の概念も身につきやすくなります。
「面積」や「体積」は、人間が考え出した「概念」で、これを言葉で身につけさせるのは至難の業で、だからこそ、「水道から水を出して、○分後に□リットルたまった」的な問題に苦戦する子が多いわけですが、こういった等しいサイズのブロックで作られたパズルであれば、この「量」の概念を身につけるのは難しくありません。
実際、そういった問題が得意な子の場合、このパズルを解き進めるスピードが速いです。
ちなみにこのブロックの名前を「ペントミノ」といって、5が「ペンタ」、4が「テトラ」で、これのブロックが4つバージョンの「テトミノ」から「テトリス」が生まれたんですよ。
最初はぜんぜんできなかった子も、
何回もくり返していく内に、図形を組み合わせる感覚を磨いていくことで、次第にうまくやれるようになっています。
特に「テトリス」より、ペントミノパズル『カタミノ』の場合、自分の手を使って回転させる、裏返すなどといった、頭の中でのイメージの操作方法と直結した動作を再現することがしやすいので、「テトリス」よりもはるかに、空間認識力を育てられます。
なお、盤面を二つに割って、二人対戦をしたりすることもできたりしますが、あくまでもオマケです。
「買ったけど無意味だった…」にならないように!
このように、今回はパズル系の知育玩具をご紹介しましたが、
「ただ買って終わり」ではなく、
どうやったら続いて、どうやったら能力を伸ばせるか、を考えながら、「続けさせる」工夫をすることが大事です。
やはり、どんな能力も一瞬では身につかず、反復によって磨かれますからね。
そうやって、苦手な能力を克服することもできますし、脳の中の神経系が太く強くなっていきますので、
知育パズルは、その効果だけに着目するのではなく、「続けられること」「続けるための工夫」ができることが大事です。
そのためには、「ゲーム」として面白いということが大前提。
今回はその条件を満たした知育パズルたちをご紹介させて頂きました!