なぜ学校では、「デジタル時計」ではなく「アナログ時計」を使うかについては、『学校に「あの時計」しかない理由』(上)(下)でお話したとおりですが、今回は、家庭で、子どもたちのために使う「知育時計」はどんなものがいいのか、ご紹介致します。
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アナログ時計を選ぶ理由のおさらい
「アナログ時計」を使うメリットとしては、
- 学校の時計問題はアナログ時計を前提としている
- 「時間」という「量」の概念が理解しやすくなる
ということがあげられます。
詳しくは『学校に「あの時計」しかない理由(下)』でお話しましたが、とくに二番目の「量」の概念の理解ができるところがポイントです。
それについてカンタンに説明すると、アナログ時計のほうが、「あと○分」「○分経過」というのが目に見える形で、「時間」という形のない「量」の感覚を理解しやすくなります。
ですから、小学校での「算数の時計」の問題や、学校生活でつまずきたくなかったら、「アナログ時計」を使ったほうがいいのです。
また、
アナログ時計は、「時間」以外にも、同じ「量」の概念である「角度」「面積」や、「量」ではありませんが「分数」も、時計を使って理解すると、とてもカンタンに理解ができます(60分×1/3=20分)。
以上のことを考えても、小学生のお子さんがいるご家庭では、子どものことを考えるのであれば「アナログ時計」一択です。
全部変えるまではしなくとも、できれば家族が集まるような所(リビング等)では、ぜひとも、「アナログ時計」を使って、しっかりと「時間」の感覚を身につけてほしいですね。
日常からそれをやらずに、中学、高校になって、お子さんに「なんで時間管理ができないのッ!?」と言ったところで現状は変わりません。
だって、
わからないんですもん。
わからないのに、できるはずがないのです(実体験です)。
大きな時間管理は、小さな時間管理の積み重ねをくり返して身につくものです。
日常からそれが出来ていないのに、「おまかせ」で、うまくいくはずがありません。
だから、ふだんから、きちんとした時間管理を身につけることが大切なのです。
時計選びのポイント、失敗しない選び方
子どもにとっていい時計は、必ずしも大人にとっていいものではないかもしれません。
でも、子どもは基本的に何も知らない=「無」から始まりますので、「時計とはこういうものだ!」という基本を身につけることは絶対に必要です。そういう意味で、いい時計の条件は以下のようなものになるでしょう。
《必須条件》
- アナログ時計である
- 壁掛け時計である
- 直径25cm以上
(※一般的な部屋の端から見えるサイズの例) - 12時間(5分)ごとに刻んであり、数字がついている
- 1分間ごとの小さな刻みがある
- 長針が確実に「分」を指す
《推奨条件》
- 秒針がついている
- ローマ数字(ⅠやⅣ)ではなく、アラビア数字(1や4)である
- 普通の時計のデザインを踏襲している
特に《必須条件》最後のポイントは、地味ですが重要です。
世の中、分の表示が短針(時)の先についていたり、子供だましのなんちゃって「知育時計」もあるので、よく確認した上でお選びください!
オススメ知育時計のご紹介!
掛時計タイプの知育時計にはいろいろありますが、普段使いができて、お子さんと「時間」感覚を身につけさせやすい、上記の条件を満たすものを厳選してご紹介します!
未就学児~低学年専用
時計の読み方どころか数字の読み方を知らない子もいますので、全部に数字が振ってあるものの方が、「数字」そのものを教えるトレーニングになります。
ただ、数字をしょっちゅう聞かれるかもしれないので、忙しい親御さんには向かないかも? また、ものすごく子ども寄りに作っていますので、インテリア的には・・・です!
さすがにこれはカラフルすぎる・・・という方には、ちょっと抑えめのものあります。
知育時計なのにずっと使えるタイプ
「さすがに、ザ・知育時計はイヤ!」とか「子ども扱いしたくない!」という方には、普通のデザインを踏襲したタイプの知育時計もオススメです。
未就学児用と1分単位では数字が書いてありませんが、だからこそ、「5の次の次だから7だよ」などと話しかけたりして、足し算のセンスを身につけることも可能です。
お値段は普通の時計よりもやや高くなり、5千円以上するものが多いですが、基本的に子どもが大きくなったからといって買い換える必要がないのがいい所です!
「分」を示す長針に「窓」があり、長針と短針の役割の違いを理解しやすいです!
また、「24時間表記にも慣れてほしい」という方向けに、短針で24時間も指せるタイプもあるので、こういった時計を選ぶのもアリだと思います。
こちらはさすがに種類が少ないので、値段もお高めですが、流行りの北欧デザインで、普通にインテリアに馴染みます。
短針に工夫がしてあり、午後は「窓」から見える数字を読みます(※違うカラーもあります)
こういったデザイン性の高い知育時計を選択するポイントとして、あまりにも文字が小さくなっているものは選ばないように気をつけましょう! それでは意味がないですからね!!
時計選び以上に大事なこと
「時間の感覚」を身につけるために、時計選びも大切ですが、それ以上大切なのが、保護者からの働きかけです。
時計を見ながら「あと○分で出発するよ」とか、「もう○時間経っちゃったね」とか、「あと○分して長い針が12の所に行ったら終わりだからね」「数字3個ぶんで15分だね」とか、小さい頃から、日常会話の中に、「時間」を盛り込んだ会話をし、実行させることが大切です。
「5分、10分、15分・・・」という5の倍数を身につけると、小2算数の「九九」や、「何分後は?」時計問題はスムーズに解けるようにもなります。
「時刻」を読むだけなら、「いつかわかるようになる」というのは、確かです。コレは別に、デジタル時計慣れしていても、アナログ時計と対応させればよいだけだから、デジタル時計でも身につきます。
しかし、「時間」はそうもいきません。
学校で勉強する「時計の問題」というのは、「長さ」や「角度」などと違い、あくまでも紙の上で、擬似的に理解したバーチャルな「量」でしかありません。
だから、時計のテストが出来たからといって、ほんとうの意味での「時間」という量感覚が身につくわけではありません。
実際、子どもの時に時間感覚をつかめないまま大人になってしまって苦労している人もいます。
ですから、時間の量の感覚がつかみやすいアナログ時計を使った、生活の中での時間管理を学んでいく必要があるのです。
「学校で教えてくれればいいのに・・・」
という気持ちもわからないでもないですが、学校はあくまでも、文科省が定めた『学習指導要領』に基づいた算数的素養の教育と、集団生活に必要な時間管理の指導しかしませんので・・・ですから、やるのは間違いなく、家庭です。
だから、知育時計に限らず、「時間」を教えやすい、アナログ時計を選ぶことが大切です。