教育の常識を考え直す

学校に「あの時計」しかない理由(下)

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だいぶ前に書いた、学校に「あの時計」しかない理由(上)の続きです。

 

学校に「アナログ時計」しかないのは、前回お話したとおりです。

そしてもちろん、学校の先生が毎日見ている職員室の時計も、当然アナログ時計です。そんな環境なので、時計問題の解き方を教える時に、アナログ時計を使って説明するのは、ごくごく当り前といえば当り前です。

とはいえ、今の世の中、「スマホが腕時計がわり」という人も少なくなく、しかもそこで表示されるのは、24時間制の「デジタル時計」であることが普通です。いつまでも「時計=アナログ」に縛られてていいのでしょうか?

 

「デジタル時計」のメリット

ビジネスの世界ではとくに「デジタル時計」が使われます。

メールで会談日時をお知らせする際も、なんならメールの送信日時も、基本的には24時間制の「デジタル時計」を採用していますし、ビジネスに限らず、飲み屋や旅館のネットの予約なども「デジタル時計」を採用しています。

それは、コンピューター内の時計が「デジタル時計」だからというのが理由の一つでもありますが、「時間を確実に伝えられる」というのが最も大きな理由です。

また、いちいち「AM」などの文字を追加する必要もないですし、1日の中での「連続した時間」として表示しやすいので、日本を含め多くの国で、電車やバス、飛行機の「時刻表」は基本的に24時間制になっています。

そこからも、24時間制の「デジタル時計」は「他者に正確に時刻を伝えるため」に最適な時計だということがよくわかると思います。

 

学校が「アナログ時計」しか採用しない理由

これだけ「デジタル時計」が普及し、メリットもあるのに、学校では「アナログ時計」しか使わないのが現実です。

イマドキ、子どももスマホを持ったりしていますから、親御さんからすると「デジタル時計も学校で教えるべきだ」という想いになるのはもっともだと思います。

しかし、教育関係者からすると、以下の二つの理由から「アナログ時計」で学ぶ意義を唱えます。

  1. 時計問題は「アナログ時計」しか出ないから
  2. アナログ時計は「時間」を教えやすいから

1.時計問題は「アナログ時計」しか出ない

最近は、「腕時計は使わない、ケータイで十分」で生きてきた人が親世代になっています。

ですから、
掛け時計もデジタル時計だったり、
アナログ時計でも数字も目盛りもないものだったり、
数字が合ってもギリシア数字だったり、
そもそもアナログ時計がひとつも家になかったり

・・・という家庭もありますが、そういう家庭に育つ子どもは「アナログ時計」を見慣れていないので、学校の時計問題にかなり苦戦することになります。

アナログ時計慣れした学校の先生も先生で、まさか、「家にアナログ時計がない」ということを想像だにしなかったりするので、そういったことに気が付かれないケースもあります。

慣れてないから、解けない
言われてみれば当り前ですが、意外とそんな理由で「時計問題が苦手」ということもよくあります。

 

2.アナログ時計は「時間」を教えやすい

もう一つは、「時間」という概念です。

たとえば、「今は9:15です」のように、時計の針や数字は、その「時刻」そのものを指し示すものですが、「今は9:15です。11:30までどれだけ時間があるでしょう?」という問いを理解するためには、時刻と時刻の間、つまり文字通り「時間」という概念が必要となります。

そしてその、「時間」を理解するには、アナログ時計の「針の動く量」で考えるのがわかりやすいのです。

ですから、学校として使う時計は、目盛りのあるアナログ時計で統一していたほうが教えやすいし、子どもの方も混乱せず理解してくれるだろう、ということで、アナログ時計が使われています。

 

「時間」は「量」である

算数には「数」「量」という二つのかぞえ方の概念が存在します。

「数」とは、「アメ玉が一つ、二つ…」と誰でも同じく数えられるものを示し、かたや、「量」とは、ある尺度で計られたものを示し、代表的なものは、「時間」「(定規等の)長さ」「液量」「重さ」「角度」「面積」などがあげられます。

そしてこれを学校で教える時は、文科省の定めたガイドラインである『学習指導要領』に従います。

そうなると、どういうことが起こるかというと、同じ「量」の概念だからということで、「時間」と「長さ」を一緒の単元で学ぶ、という大人からすると不思議な事が起こるのです。

啓林館『わくわく算数 小3』より。時間と定規・巻き尺を一緒の単元で習います

時計と定規の読み方を一緒に習うなんて、日常生活を考えたらおかしな話です。

でも、それは、「量」の概念を学ぶためなのです。形のないものを、「目盛り」のあるもので理解しよう、という考え方に基づいて行われているのです。

 

それを考えてみても、「デジタル時計」にせずに、「アナログ時計」を使い続ける理由も見えてくるでしょう。

 

たとえば、学校の時計をデジタル時計にした場合どうなるか?

「あと○分で終わりです!」
と言われても、瞬時にそれを判断できる子は、そう多くいません。

目盛りのあるアナログ時計だから、どの子にも極力公平に、「時間」という概念を教えやすいためです。

目盛りを基準に「時間」を知ることが出来る

 

デジタル時計では、目盛りがないので、「量」の概念をつかめないのです。だから、使われないのです。

「いつ来るか(時刻)」はわかるが、「あと何分で来るか(時間)」はわからない

 

おすすめの知育時計の紹介は次回です!

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