出版

ころんでも、まっすぐに!

いよいよ『ころんでも、まっすぐに!ー犬に救われたドッグトレーナーが見つけた〈生命〉をつなぐ道ー』の発売が近づいてまいりました。

発売日は、正式には8/2。

この本に登場する「デュッカ」という犬の命日で、ちょうどこの日が七回忌です。

 

この本は、私の犬を通わせている「わんわん保育園DUCA(デュッカ)」のもう一つの顔である、『志村どうぶつ園』にも出演した動物愛護団体「NPO法人DOG DUCA」をされている代表 髙橋忍氏の半自叙伝で、物書きである私、田中聖斗が企画立案から取材、構成、執筆したノンフィクションです。

 

Contents

内容

この本は、表紙の犬の写真から、「犬の本」のような体裁ですが、内容はあくまでも、保護活動をする一人のドッグトレーナーの七転八倒な半生を描いており、犬を飼っていない人でも普通に読んで頂ける内容にしてあります。

むしろ、そのためにこのような本にしたという部分が大きいです。

犬のしつけの本、愛護活動についてだけの本なら、他にもあります。

でも、髙橋氏のたどってきた軌跡は、氏だけのものです。そしてその人生が、宣伝抜きで面白い!

本人的にはちっとも面白くないと思われるのですが、そのエピソードを一部紹介すると・・・

  • バイトで調子乗ってたら、顔面に正拳突きを喰らう
  • 物件の内見もせず投資して、詐欺に遭う
  • 多額の借金を抱えて、妻に逃げられる
  • かつての部下に「金なら貸しませんよ」と言われる
  • 「犬を買おう!」と思い立つも金がなくて凹む
  • 金額も聞かずにブリーダーの家に行き、値段聞いてまた凹む
  • 借金があるのに、金を払って犬を保護する
  • 愛護センターに直談判しに行って、殺処分機の中に入る
  • 誰も手を上げない犬の保護に手を上げる

などなど。

世間では「殺処分ゼロ」のために活動するドッグトレーナーであり、NPOの代表という顔を持つ氏ですが、人間としての氏は、被写体としてとても魅力的な人物です。英雄のようで英雄になりきれない、でも英雄的な行動をする、裏表のない単純な、純粋な人。そんな氏の、まさに、一人の人間の苦悩と葛藤を描いたヒューマンドラマです。

たしかに、どうしても「犬の仕事」をしている氏の本なので、犬の話はバンバン出てきますが、その辺は専門的になりすぎず、身近な例で例えたり、しつこくならないように話の流れで自然に入ってくるように書いてあります(自信あります)。

なので、動物を別に好きじゃない方が読んでも普通に読める内容かなと思います。
もちろん、サブタイトルにもあるとおり、氏の愛犬デュッカ(写真の犬)と氏の絆の物語も感動必至ですので、動物好きな人は、ぜひぜひ買って読んでみてください!(笑)。

 

また、昨今の「保護」の現状や、現場ならではの話(犬を保護してほしいと連れて来た人がどういう表情で帰って行ったか等)、「こんな風なの?」「こんな世界があったのか!」という、新しい発見もあると思いますので、老若男女どなたでも読んでて、学びがあり、感動があり、そして、涙あり・・・の内容になっています。

とくに、第3章と第5章は、涙なしには読めない内容かなと思います。
基本冷たい私が校正をするために何度読み返してもなりますので・・・。

もちろんそれは、「殺処分」が残酷で涙が出るという話ではなく、もっと、自然に涙が出てくるようなお話です。気持ちが暗くならない涙とでも言いましょうか。真剣になることの大切さ、無償の愛情、そういったものを再確認させてくれるお話です。

 

また、この本は、氏の希望で、小学校高学年でも読める読みやすい体裁にしてあります。
全ルビではない一般書ではありますが、試読してもらった多くの人(学校の先生含む)に「メチャメチャ読みやすい」と好評を頂いておりますので、普段本を読んだりしない方、小学生(高学年かな)、中学生、高校生の方に、ぜひぜひ読んでもらい、なんなら読書感想文に書いてほしいというのが氏の願いです笑。

解説は、懇意にしている動物病院の院長先生にお願いしました。
本文を読み終えた後、また違った視点で氏のことを見ることで、一粒で何度でも美味しい本に仕上がっていると思います。

 

8/2発売(夏休みの読書感想文にピッタリ!)。
取り次ぎにはもっと早く入るので、恐らく最短で7/31に手に入るかなと思います。Amazon等のネット書店でも絶賛予約受付中です。

価格※も税抜1400円、今の税率だと税込1512円と、お求めやすい価格設定にしてあり、量も250ページくらいですので、一日あれば読めると思います!
(※売上の一部は保護活動に使われます)

 

本の裏話

本には髙橋氏の「あとがきにかえて」はありますが、私の想いは書かれていませんので、ここに残しておくことにします。また違った目線で見えるかもしれません。

 

タイトルについて

実は私自身は、生命に対してもっとクールな視点で見ているので、この本の中にある「生命」への想いは、純度百パーセント、氏によるものです。だからこそ、サブタイトルにも「生命」という言葉を使わせてもらっています。

すごく長いサブタイトルなのは、どうしても削れなかったので、全部盛り込む苦肉の策です。
「犬」を下に置かないドッグトレーナーとして、とか、どうしてもこうじゃないと表現できないというのもありまして・・・ドッグトレーナーという職業名も長いし・・・その結果、Amazonでは最後の「道」という文字だけ消えてる(!)。
ちなみに表紙に「道」が描かれているのはわかりましたか?

ころんでも、まっすぐに!  —犬に救われたドッグトレーナーが見つけた〈生命〉をつなぐ—

なお、メインタイトルの「ころんでも、まっすぐに!」ですが、当初の、氏の「生命」への強いこだわりを反映した仮タイトルとは大きく変わりました。

というのも、全体の半分くらい書いた時、ふと改めて考えてみると、「この人、失敗ばっかしとるな」と思ったからです笑。

これまで氏の講演原稿を作ったりして、氏の失敗をたくさん知ってはいるのですが、講演では話しづらい内容も含め、改めて原稿にまとめてみると、なんか、「ここまで失敗を重ねるか?」と。

 

でも、その「失敗」も、自身が行動家であり、よかれと思ってした行動の結果引き起こされたものです(詳しくは書籍をご覧ください)。

確かに、世の中には、私も含め、「石橋を叩いて叩いて渡らない」人が多くいます。そればかりか、昨今のSNSでの誹謗中傷のように、「失敗は悪」のようにすら写り、あげ足取りばかりする人も目立ちます。

その中で私は、氏の人生を追いながら、失敗をくりかえしても「誰も成し得なかったことを成せたこと」に注目しました。動物愛護センターの殺処分機の中に入り、「もう、全部連れて帰る!」と大声で叫び、そして・・・氏の人生はまさに体当たりでした。

 

「誰かがやらなきゃ」とは言いながら誰もやらない人たち。

氏は、そういう人を非難するのではなく、そういう社会を変えようと回り道して政治などに走るのではなく、もう、目の前のことに一直線(まっすぐ)に、全力でぶつかる。その結果として、「誰もやれなかったこと」をやることができた。

それは氏が、パソコンもろくにできない、50代の非SNS世代というのもあるかもしれません。
良いところも悪いところも含め、「昭和の熱い男」のままの氏の生き様を、今の若い人たちにも見習ってほしいというか、知ってほしいという気持ちもあったのかもしれません。

タイトルは、「ころんでも、まっすぐに!」と、失敗してもいい、大事なのはその先にあることなんだという想いをこめて、どの世代にも伝わる、シンプルなこの形になりました。
泥だらけになりながらでも、成すべき事を成す。能書きじゃない、行動なんだと。

孔子の言葉『論語』に、「義を見て為さざるは勇無きなり」という言葉がありますが、氏の人生は、まさにそれです。

それはこの本を読んでいただければわかりますが、古来から忘れられそうになるこの価値観を、氏の、不器用ながらも、自身の想いに「まっすぐ」な半生を通して、改めて考えて頂けたらなと思います。多くの人たちに。

 

著者名について

髙橋氏は、メディアにも結構登場しているので、無名の私がガチなノンフィクションとして出すよりも、氏の名前で出すこと、また、氏の一人称で書くことは早々に決まりました。商業的な意味合いもありますが、この方がメッセージとしてダイレクトに伝わるというのもあるからです。

というのも、この本のテーマは「生命」。これは氏の強い想いがあるからで、それを、淡々と書くノンフィクションにしてしまうのはもったいないと思ったからです。感情を入れないといけない。
ノンフィクションはジャーナリズムに近いので、その辺がどうしても客観的になりすぎてしまいます。それじゃ、伝わるものも伝わらない。

「この人の言葉」で語らないと、「この人の人生」で語らないと、伝わらないものがあると判断したからです。それだけ、興味深い、数奇な人生を歩んでいるからというのもあります。

そしてその人生こそが、誰でも言える「生命を大事にしよう」という聞き慣れた言葉よりもずっと、力強いメッセージになると思ったからです。

 

日本の出版業界では、著名人の本はゴーストライターが書いて、その名を明かさないというのが常識です(本の奥付には「構成」とか「編集/執筆協力」とか名前が書いてあったりします)。

「ゴーストライター」というのは、「全聾の作曲家」佐村河内守氏の新垣隆氏によるゴーストライター問題というのがあったように、ネガティブなイメージがついてまわるものです。日の当たる有名人に搾取される、的な。
そんなドラマもありましたし、マンガ業界でも、ストーリーを考えたのは編集者だったとかで揉めることもありました。

実際、いわゆる「ビジネス書」はほとんどがゴーストライターによるものですし、なんなら、まんまのタイトルの本も出ています。かのホリエモンの本も「自分で書いてない」と編集者が公言しているくらいです。

芸能人なんて昔からゴーストライターによるもので、出版のことを記者に聞かれた芸能人が「まだ読んでないんです」と答えたのは有名な話です。

日本らしい「本音と建て前」を象徴するのが出版の世界です。

それに抗い、多数の書籍に関わったライターの上阪徹氏などは、自身を「ブックライター」と名乗り、自分が関わった本を、自身の著作で公表したりしていますが、それでも、それが「自慢だ」とバッシングされたりするし、結局は有名人の本に、ブックライターが著者名として載ることはありません。

有名人の「名前」で本を売りたいからです。
有名人が「書いた」感を出したいからです。
ゴーストライターの印象が悪いからです。

理由は「出版不況」ということも出来ますが、逆にこの、目の前の利益に飛びつきたいという安易な気持ちが、似たような本を生み出す悪循環を生んでいるように映るのも私だけではないはずです。
タイトルや著者名で煽るだけ煽って内容の薄い本に飽き飽きしている人も多いのではないでしょうか?

 

確かに、有名な作家も、ゴーストライターの経験があったというのはWikipediaにも載っていますが、近年、海外の著名人の本を見てみると、堂々と、ブックライターの名前が載っていることが多いように思います。

手元にあるものだと、

ぼくがジョブズに教えたこと 営業の神様 ザ・カリスマ ドッグトレーナー シーザー・ミランの 犬が教えてくれる大切なこと

など、「カリスマ」と呼ばれる、経営者、セールスマン、ドッグトレーナーなど、ジャンルは違えど、常に膨大な文章を書く大学の研究者と違って、明らかに自分で書く機会も時間もない著名人の本に、「&」なり「with」なり、小さい文字なりと差はありますが、明確にブックライターの名前が書いてあるわけです(もちろん、ライターが書きましたという文言はないけれど、プロフィールを読めばわかる)。

 

日本にも、こういう本があってもよくないか?
こういう本があれば、ブックライターが日の目を浴びるのではないか?
ゴーストライターによるトラブルもなくなるんじゃないか?

という考えから、今回の本に、私、田中聖斗の名前を追加することにしました。

髙橋氏は今回の本の中にもあるように大変気前のいい人物で、むしろ、最初、髙橋氏の名前で本を作ることに「本当にそれでいいの?」と言っていたし、実際に書き始めても、まだ完成していないにもかかわらず、自身の知り合いに、私(田中)に書いてもらっているんだ、凄くいい出来だから読んでよ、とほうぼうに公言し回っていました。
私が、寺子屋で利用させてもらっているコミセンのスタッフさんに「本を書いてるんだよね?」と聞かれて「えっ?」と驚く始末(汗)。

氏自身が、裏表がない性格なのと、私に物書きとして成功してほしいという気持ちがあってそうしているのもあります(あと、軽い性格なのと笑)。

 

なので、それだけ公言しているのだったら、あえて隠す意味もないので、やっぱり私の名前を上記の本のように追加したいとお願いすると、「いやもう、ぜひぜひ載せましょう! その方がいい!」と快く応じてくれ、このような、「共著」のようなスタイルになりました。

出版社の方にもその件を相談したところ、私自身は「小さくてもいい」と思って言ってもいたのですが、まさかの並列表記で、なんなら、出版取り次ぎに流す紹介文にも「名古屋市内で犬の保護活動に奔走するドッグトレーナー髙橋忍の軌跡を、『想いを形にする』作家田中聖斗が高橋の1人称でまとめました」と大胆にも公言する形で書かれることになりました。
それが、Amazonなどの書籍説明文にも反映されているわけです。

関係者には感謝しかありません。

 

共著にしたもう一つの理由

私がこうやって自分の名を出すことにしたのはもう一つ理由があります。

それは、ネット、特にAmazonのようなネット書店の普及です。

昔の本は確かに「誰が書いたか」「タイトルは何か」ということが重要でした。プロモーションは新聞やテレビのような「マスメディア」だったことも大きいでしょう。

しかし今は、タイトルも著者もわからなくても、書かれている内容やキーワードで本が探せる時代です。そんな時代に「有名人」の名前にあやかることを神聖視しすぎてもどうなのか? ブックライターに変わらず日の目が当たらないままでいいのか? これでは、「下請け」を軽視する日本企業の風習そのままではないのか?

ネット書店であれば、本を書いた人の名前から、関連書籍が次々出てきます。

ブックライター(ゴーストライター)が表に出ずに出版された本は、出版業界の中では確かに、その人の実績になるのでしょうが、コンシューマー(一般消費者)の目線からすると、その人の著作にならないのです。それって、その著者のファンからしたらイヤじゃないですかね?

でも、ネット書店なら、共著者の名前として載れば、それが実績になる。

先に挙げた本でも、共著者のリンクが堂々と出来上がるのです。そこでその人が本を書く書かないは別として、その人の「仕事」として確実に記録に残る。買う方も、それを元に、より、その作家のことを知れる。これはとても大事なことだと思うのです。

今は、なんでも闇に葬っても結局は真実が流出してくるオープンな時代。
だったら、あえてオープンにしていく方が、よっぽど未来に対して生産的なんじゃなかろうかと。それぐらいの気概がないのに「作家」を名乗るのもいかがなものかと。

そういった意味で、私の名前でも出てくるように、著者名に私の名前を併記することになりました(次回作が出なかったら笑えますけど)。

 

かといって、書かれている内容はすべて私の人生ではなく髙橋氏のものです。

ただ、髙橋氏の「想い」を元に、私がそれを120%にして届ける一冊の本にまとめ上げたのはまた変わらぬ事実であります。そういった意味で二人の合作ということであり、二人の著者名が載ることになりました。

私としては、私の人生じゃないので、あまり「自分の作品です!」と言い出しにくいところはあるのですが、一年間、制作している姿をずっと見てきた妻からは「自分の作品でしょ!?」と活を入れられ、出版社の紹介文にもあるように「一人称ノンフィクション」と考えれば、確かに作品として成立しているなと思い、今回このような作品紹介をさせてもらいました。

 

「何を信じたらいいかわからない」という時代だからこそ、こういう本が、世の中にもっとあっていいのではないのかな、と思います。

目先のことばかりに囚われず、建前じゃなく、本音の本がもっと増えれば、世界はもっと豊かになっていくのではないでしょうか??

でも、レビューでどう書かれるかって怖いですよねぇ・・・汗

自信はありますけど、それでもね。

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