こんにちは、パワポ歴20数年の田中聖斗です。
過激なタイトルですが、あくまでも非デザイナー向けに、「パワーポイントを使ってのデザインのススメ」を書こうかなと思います。
PowerPointとの出会いは、バイト先で、社員さんがカンタンなイラスト(というか作図)を書くのに使っていたのを見たのが始まり。
なるほど、こんな便利なものがあるのかと。
こういった、
- 四角とか丸とかの図を簡単に描ける
- 写真を入れられる
- どこにでもレイアウトが出来る
- 文字も好きな所に入れられる
といった機能を持つソフトは、「Illustrator」とか「花子」とか、兄が使えたのでPCに入っていたものの、重かったり操作方法を学ばないと使えないものでした。
けど、パワポは違う。
動作も比較的軽快で、マイクロソフトのワードやエクセルを触っていればわかる、このカンタンさ。
なにより、会社のパソコンに入っているのがいいですよね。
Contents
デザインするためのソフト?
「パワポでデザイン」というのは、昔から、プロのデザイナーから鼻で笑われるようなことでした。
「パワポはプレゼン用でしょ?」
「細かい調整ができず使い物にならない」
「だいたい、入稿に使えないじゃんwww」
まったくもって正論。
でもねぇ・・・
そもそも、昔から、印刷物を入稿するためのDTP(画面で印刷原版を作る)ソフトは、
ポスターやチラシ→Adobe Illustrator
書籍→Quark XPressやAdobe InDesign
という、それら10万前後のプロ用の高額ソフトを使うもの、と相場が決まっていましたが、プロじゃない一個人が Illustratorを覚えたって、会社で印刷できないじゃん? 入ってないもん。
そもそも、「デザイン」に対して意識が低い会社では、そういった高額ソフトに投資することがないんです。
でも、「デザインの効果」に対して意識が高い社員が、「なんとかしたい!」と奮闘すると、あるものでやるしかない・・・そうなると、「パワポでデザイン」になるんですよ。
しょうがなくないですか?
また、そのニーズにマッチする手軽で使いやすいソフトが、他になかったんですから・・・いや、ありました、「Publisher(パブリッシャー)」です。
マイクロソフトが出した、残念なDTPソフト
Publisherは、あの、WordやPowerPointと同じく、Microsoft社が出した、印刷物制作用(DTP)ソフトです。
特徴的なのが、WordやPowerPointなどのマイクロソフトオフィス製品と、同じ操作感でDTPが出来る、画期的なソフトなのです。
しかし、会社のOfficeに同梱されていることもある割に、残念なことに知名度もないし、使ってる人が全然いない。
とくにそのソフトの位置づけ的に大事だと思うのが、操作性だけでなくテンプレートだと思うのですが、テンプレートもMS Office仕様で、最初に開いた時のテンプレートのショボさに「使えねぇ」って思ってしまいます。
そもそも、「パワポでデザイン」をする人は、本職のデザイナーじゃないですからね。だから、そうそう「デザイン」する機会なんてないんです。
そんな人が、
わざわざPublisher使ってイチからデザイン!?
そんな時間ないですよ。
また、そもそも、OfficeのモデルによってはPublisherが入っていなかったり、普及度も中途半端で、ユーザーが少なく、ネットに情報も少ない。
それで、使い慣れたパワポになっちゃう人が多いんだと思います。
Publisherは使ってみると、パワポより確実にDTP向けの地味に良いソフトなんですが、言っちゃ悪いですが、ユーザー目線で考えると、「帯に短したすきに長し」なんですよね。
ガッツリやるならイラレ、そうでないならパワポ、なんです。その中間は・・・です。それは、Publisherが出て、20年経った今も同じ。
実際、DTP性能はPowerPointよりPublisherの方が高いのに、「Office入稿OK!」というネット印刷のところでも、Word、Excel、PowerPointはOKなのに、Publisherが入っていなかったり・・・(笑)。
そんなこんなで結局、「パワポでデザイン」になるわけです。消去法です!
今、「パワポでデザイン」する理由
Adobeは、Creative Cloudという月額会員みたいな形で、これまで1本で10万円もしたIllustratorやPhotoshopを手軽にしましたが、それでも高いし、どうにも重いし、高機能すぎるし・・・やっぱりほとんどの会社で使えないじゃない!?
個人での利用ならいざしらず、企業のセキュリティ意識が高い今、会社のPCは持ち出し禁止になっていたり、なんならPCじゃなくDaaS(ダース)みたいな、全PCのソフト環境を一括で管理して自由にインストールできない端末を使う会社とかもあって、ほとんどのビジネスマンが、今も、Illustratorを使える環境にないのが現実。
それでも、年々、グラフィカルな資料が求められているワケで。
だったら現実と折り合いつけて、必ず使える環境のある、PowerPoint(パワポ)で、Illustratorみたいなことができたら、いいよねとなる方が自然です。
結果、現実論で行くと、「パワポでデザイン」になるわけです
単なる「お絵かき」のレベルではなく、人の目を引いて、インパクトがあって、なおかつ人を動かせるもの。
それが、ビジネスマンが目指すことでしょう?
もちろん、ビジネスマンじゃなくても、町内会のチラシでもなんでも、人を動かすためには「デザイン」の重要性は言わずもがなです。
「パワポでデザイン」は邪道か?
「パワポでデザイン」って言うと、最初に書いたような反論もたくさんあります。
でも、今は、CMでバンバン宣伝している印刷会社「ラクスル」とか、ネットで印刷を依頼できる所は、「PDF入稿OK」「ワード入稿OK」「パワポ入稿OK」って所も多いわけ。
こういう所は、デザインの「理想論」よりも、「現実論」を優先してるんですよね。
なんでもいいから、とにかく印刷してくれよと。
そういう意味で、「美しい印刷を!」と「理想論」にこだわる印刷会社は、苦境にさらされちゃいますよね。
だって今や、ネットには「パワポ用チラシテンプレート(下図)」っていうのもあるし、個人レベルで、印刷会社に発注する時代なんですもん、今。しかも驚くほど安い。
パワポ自身も、劇的な進化は見せないものの、プレゼンの機能より「お絵かきソフト」的な面を進化させているような気すらしますしね。
というか実際、PowerPoint 2013から搭載された、オートシェイプ(図形)の重なりをカットしたり合成する機能(下図)とか、プレゼンソフトには不要な機能が追加されていますし、お会いしたことのあるMicrosoftの人に、「そういうニーズがあるから」とハッキリ言われさえしましたよ。とても現実的でいいと思います。
もっとプレゼン用のデザインを強化しろと思いましたけど、正直、よくぞその機能を搭載してくれたと思いましたもんね。
これがあれば、Illustratorやその亜種のいわゆるベクター系ソフトを使わなくても、思いのままに近い形が作れます。
結論:「パワポでデザイン」でもなんとかなる
もちろん、細かく美しくこだわりぬくデザインが必要だったり、「デザインでメシを食っていく」という、「デザインが目的の人」であれば、Illustrator(イラレ)、Photoshop(フォトショ)などは必須です。それは今も昔も変わりません。
でも、「デザインはあくまでも手段」という、非デザイナーの人には、「パワポでデザイン」でいいのでは? と思います。
パワポでポスター作り、パワポでチラシ作り、パワポで年賀状作り(笑)、なんでもパワポで作ったっていいじゃないですか!
何がいいって、パワポで作ったファイルは、今後も使えるってことです。
これって、地味に大きいですよ。
これが、年賀状ソフトだったら、うかつに乗り換えできない・・・でしょ?
Publisherが普及しないのも、ファイルを読み込めない人が多いから。これは決定的です。
非デザイナーだからこそ、「過去の資産」や「他人の資産」を大いに利用したいと思うわけですし。
そういう意味で、パワポは優れたDTPソフトと言えると思います。「ちょうどいい」のです。